退職前の有給消化を拒否された人へ|対処法と引き継ぎなどを理由に断られたときの例文を経験者が解説

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退職前に有給消化を拒否されたときに読む記事のアイキャッチ。残日数の考え方と揉めずに交渉する進め方を扱うことを示す

退職前にまとめて有給休暇を消化したいと伝えたら、「引き継ぎがあるから」と言われて、それ以上何も返せなくなってしまった経験はありませんか?

この記事では、断られた状態から取れる選択肢と、渋られたときにそのまま使える返し方を紹介します。

じん係長

私も製造業で8年働いたあと、退職してIT業界へ移りました。在職中は、有給を申請するたびに理由を聞かれる職場でした。

この記事でわかること

  • 断られたときに取れる4つの選択肢と、選び方
  • 「引き継ぎがあるから」と言われたときに、そのまま使える返し方
  • 会社が有給を断れるのか、就業規則で制限できるのか
  • 勤続年数ごとの付与日数と、自分の残り日数の数え方
  • 上司とやり合わずに有給の消化を進める方法
  • 欠勤扱いにされたときに、引かれた分を取り戻す手順

読み終えるころには、自分がどの選択肢を取るかと、次に会社へどう伝えるかが決まっているはずです。日数と伝え方が決まれば、揉めずに辞めるところまで見通しが立つようになりますよ。

退職前の有給消化を断られて悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

有給を断られたときに取れる選択肢は?

打ち手は4つあります。自分で言い直すか、第三者に任せるか、退職日をずらすか、申請して休んだうえで引かれた分を後から請求するかです。どれを選ぶかは、断られ方と退職日までの残り日数で決まります。

なぜなら、有給は労働基準法39条で認められた権利で、会社に申請そのものを拒む権限がないためです。断る側は日程の話に持ち込むしかなく、日程の話であれば、こちらから案を出せます。

捨てることになる日数も、先に押さえておくと判断しやすくなります。勤続7年6ヶ月以上なら、繰越を含めて最大40日を持てます。40日は、週5日勤務ならおよそ2ヶ月分の休みにあたります。

自分に何日残っているかは、給与明細か勤怠システムで、その日のうちに確かめられます。

断られた時点で諦める必要はありません。申請を出したうえで休み、その日を欠勤として賃金を引かれた場合は、退職後でも3年以内なら請求できます(労働基準法附則143条3項)。

どの断られ方をしたかで打ち手が変わる

4つの打ち手は、かかる時間と相手が違います。

打ち手向いている場面動くまでの時間
自分で言い直す引き継ぎや人手を理由に先送りされているその日から。メール1通で出し直せます
第三者に任せる上司のところで止まって動かない人事なら数日、労働基準監督署は相談したその日に動き出せます
退職日をずらす残り日数が退職日までに収まらない会社の同意が要るぶん、早いほど通ります
申請して休み、引かれた分を後から請求する退職日まで日がなく、申請しても休ませてもらえない退職後でも3年以内なら請求できます

まず、自分がどの断られ方をしたのかを確かめてみてください。断られ方によって、最初に取るべき打ち手が変わります。

言われ方自分で言い直すなら第三者に任せるなら
「有給は認められない」と正面から断られた権利であることを伝えて記録に残す人事、それでも動かなければ労働基準監督署
「引き継ぎが終わってから」と先送りされた引き継ぎの日程を自分から出す人事に同じ申請を出し直す
「今は人手が足りない」と時期をずらされた重ならない日程を出して申請し直す人事に日程案ごと出し直す。動かなければ労働基準監督署

見落とされやすい退職日をずらす選択肢

最終出社日を前倒しにするのではなく、退職日そのものを後ろへ動かして、有給の入る枠を作ります。

たとえば有給が20日残っていて退職日まで2週間しかないなら、最終出社日はそのままで退職日を1ヶ月後ろにすると、残り日数が枠に収まります。

注意

退職日を動かすには会社の同意が要ります。一度決めた日を一方的にはずらせないため、早く相談するほど通りやすくなります。次の入社日が決まっている場合は使えません。

退職日まで何日あるかで、現実的に狙える打ち手は変わります

退職日まで現実的な打ち手
4週間以上ある引き継ぎの日程を出して分割で申請する。残り日数が枠に収まるなら、全部の消化も狙えます
2〜4週間引き継ぎに必要な日を確定させ、残りを申請する。退職日を後ろにずらす相談も同時に
2週間未満記録が残る形で申請したうえで休む。欠勤として引かれた分は、退職後でも請求できます

断られたまま終わっている人は多い

マイナビ転職が転職経験者617人に行った調査では、残っていた有給をすべて消化できた人は0.97%でした。消化できなかった理由の1位は「消化しづらい雰囲気があった」で40.36%、2位は「仕事が忙しくて取れなかった」で35.49%です。

正面から拒否されるケースより、断られないまま消えていくケースのほうが多いことがうかがえます。

出典:退職時の有給消化のルールとは?(マイナビ転職)

じん係長

引き継ぎ資料を作りたかったのですが、通常の仕事が減るわけではないので時間が取れませんでした。結局、口頭での説明が中心になりました。

引き継ぎを理由に有給を削りながら、引き継ぎのための時間は用意されないことがあります。だからこそ、必要な日を自分の側から出したほうが早く進みます。

有給を渋られたときの返し方【例文あり】

断る理由に合わせて、その理由が使えなくなる案を先に出します。引き継ぎなら完了する日を、人手不足なら重ならない日程を添えて、口頭ではなくメールで出し直すのが要点です。

なぜなら、断る側は日程の都合を理由にしているので、日程の案を示せば、その理由が使えなくなるためです。

断られ方ごとの言い方

そのまま口に出すか、メールに貼り付けて使えます。

場面そのまま使える言い方
申請を渋られたとき「有給は権利だと理解しています。引き継ぎには協力しますので、消化させてください」
引き継ぎを理由にされたとき「引き継ぎに必要な日を先に決めさせてください。そのうえで残りを有給に充てたいです」
一度に断られたとき「一度にまとめてが難しければ、何回かに分けて取らせていただけないでしょうか」
人手不足を理由にされたとき「人手が足りない時期は外します。◯月◯日から◯日までなら重ならないと思うのですが、ご相談できませんか」
返事がはっきりしないとき「今週中に、消化できる日数だけでも教えていただけますか」
口頭で流されそうなとき「あとで確認できるように、同じ内容をメールでもお送りしておきます」

どれも、断られた理由をこちらから消しにいく言い方にしてあります。

「引き継ぎがあるから」と言われたときは計画を先に出す

引き継ぎを理由に断られたときは、日付の入った計画を先に出すと話が進みます。相手が受け取れる形は、日付が入った一覧になります。次の4つが入っていれば大丈夫です。

引き継ぎ計画に入れるもの
  • 引き継ぐ業務の一覧(担当している順に)
  • それぞれの引き継ぎ先と、説明に必要な日数
  • 資料を渡す日と、口頭で説明する日
  • 引き継ぎが完了する日(=ここから先を有給に充てる)

完了する日を自分から書くと、相手は日付を見て答えるだけになります

「人手が足りない」と言われたときは重ならない日程を出す

忙しい時期を外した日程を、こちらから先に出します。相手が心配しているのは特定の時期の人手なので、その時期を避けた案なら断る理由が残りません。

まとめて取れないときは、分割して申請すると通りやすくなります。残り20日なら、月末に5日、翌月に10日、最終週に5日といった割り方です。

会社の言い分こちらから出す案
月末の締めが忙しい締めの週を外し、翌週から10日続けて取る
人がいないので回らない引き継ぎ先が動ける日を先に押さえ、その後を有給に充てる
繁忙期だから無理繁忙期の終わる日を教えてもらい、その翌日から申請し直す

日程の案を出しても返事が来ないときは、相談できる窓口もあります。その前に、断られたやり取りを記録に残しておきましょう。

記録が残る形で出し直す

口頭だけのやり取りは、後になって言った言わないになりがちです。メールなら、次の3文で伝わります。

申請メールの文面

◯月◯日から◯月◯日まで、年次有給休暇を取得したいと考えています。引き継ぎは◯月◯日までに完了する予定です。ご確認をお願いいたします。

断られたところから立て直す手順は、次の4つです。

有給の申請を通すための4手順
  1. 有給の残り日数を確認する
  2. 引き継ぎに必要な日を洗い出して、日程表の形にする
  3. 有給の希望日と引き継ぎの日程を、セットでメール申請する
  4. 送信済みメールを保存し、口頭で断られた日時と発言をメモに残す
じん係長

8年間ほとんど使わずにいた有給が40日残っていました。退職前にまとめて消化したいと伝えましたが、「引き継ぎがあるから」と言われ、実際に取れたのは10日だけでした。

手順4の記録は、人事や労働基準監督署に相談するときの材料にもなります。

言い方が決まっても、そもそも会社は断れるのかどうかは気になりますよね。続けて、有給が法律でどこまで認められているのかについて書いています。

退職前にまとめて有給を消化することは法律で認められている?

認められています。会社が持っているのは時期をずらす権利で、退職日が決まっている場面では、ずらす先がないため使えないとされています。

有給休暇は労働者の権利です。労働基準法39条が定めており、雇い入れから6ヶ月以上続けて働き、全労働日の8割以上出勤していれば付与されます。

全労働日とは、その職場で働くことになっていた日のことです。有給を取った日は、出勤したものとして数えます。会社の都合で休業になった日は、全労働日そのものから除いて計算します。

会社に認められているのは時季変更権だけ

時季変更権とは、事業の運営に大きな支障が出る場合に限って、会社が有給を取る時期をずらせる権利のことです。

労働基準法39条5項ただし書は、この権利を使える場面を「事業の正常な運営を妨げる場合」に限っています。しかも、ずらした先で休ませることが前提の権利です。

退職後に出勤する日はありません。変更先になる労働日が退職日以降に存在しないため、退職前の有給は事実上ずらせないとされています

就業規則で日数を制限されたとき

「退職前の有給消化は◯日まで」と就業規則に書かれていることがあります。就業規則は法令に反してはならないと定められており(労働基準法92条1項)、法律の基準に達しない労働条件を定めた部分は無効になります(労働基準法13条)。

言われたときは、次のように返せます。

言われたことそのまま使える返し方
「就業規則で◯日までと決まっている」「労働基準法で認められている日数を下回る部分は無効だと理解しています。あらためてご確認いただけますか」
「うちはそういう決まりだから」「就業規則の該当箇所を見せていただけますか。確認したうえでご相談させてください」

申請して休んだら懲戒や損害賠償になる?

有給は取得の理由を問わない権利なので、正しく申請して取った休みを理由に処分することはできません。損害賠償も同じで、法律で認められた休みを取ったこと自体を理由に請求することはできません。

年10日以上の有給が付与される人については、年5日を取らせることが2019年4月から会社の義務にもなっています。

注意

申請を出さずに休むと、欠勤として扱われる余地が残ります。断られていても、申請そのものはメールで出しておいてください。あわせて、有給を請求する権利は発生から2年で消滅します(労働基準法115条)。

出典:労働基準法(e-Gov法令検索)

上司とやり合わずに有給を消化するには?

上司の外側に、人事、そして労働基準監督署という窓口があります。会社と一切やり取りしたくないなら、労働組合か弁護士が運営する退職代行に任せる形も選べます。

なぜなら、有給の申請は上司の裁量ではなく、賃金や労働時間と同じ労務管理のルールの話だからです。ルールの解釈を扱う窓口は、上司の外側にあります。

まず社内の窓口に出し直す

直属の上司のところで止まっているなら、同じ内容を人事に相談してみてください。上司個人の判断が、会社としての回答に変わります。

総務やコンプライアンスの窓口、社内に労働組合があればそこも使えます。

相談する相手そのまま使える言い方
人事に相談するとき「有給の申請を上司に出しているのですが、日程が決まらずにいます。どう進めるのが良いか教えていただけますか」
申請の記録を残すとき「先ほどご相談した内容を、あらためてメールでもお送りします」

労働基準監督署では何が起きる?

各都道府県の労働局と労働基準監督署には総合労働相談コーナーがあり、予約なしで無料です。使い方は2種類あります。

窓口の使い方何が起きるか
総合労働相談コーナーに相談する助言・指導や、あっせんという話し合いの場につながります
労働基準法違反として申告する監督署が会社を調べ、是正を指導します(労働基準法104条1項

申告とは、労働基準法に違反している事実を監督署に届け出ることです。相談と違って、監督署が会社に対して動きます。

申告したことを理由に、会社が不利益な扱いをすることは労働基準法104条2項で禁じられています。

窓口に行くときは、次の4点を持っていくと話が早く進みます。

労働基準監督署に持っていくもの
  • 有給の申請を出したメールの控え
  • 断られた日時と、言われた内容のメモ
  • 直近の給与明細
  • 就業規則の年次有給休暇の条文

退職代行と弁護士の使い分け

人事とのやり取りも含めて、会社と関わること自体がつらい場合は、退職代行という選択肢もあります。ただし、運営している主体によって、できることが変わります。

運営している主体退職の意思を伝える有給の交渉
弁護士できるできる
労働組合できるできる(団体交渉として)
民間の業者できるできない

有給まで取り返したいなら、労働組合か弁護士が運営しているところを選びます弁護士法72条が、報酬をもらう目的で会社と交渉すること(法律事務といいます)を弁護士以外に禁じているためです。

労働組合には労働組合法で団体交渉(組合として会社と話し合う手続き)の権限が認められています。そのため、組合が運営する退職代行は有給の交渉まで担えます。

引かれた賃金の額が大きい場合や、慰謝料まで求めたい場合は、弁護士が扱う領域になります。裁判所での労働審判(労働のもめごとを扱う短い裁判手続き)や訴訟まで見据えるなら、弁護士に依頼するのが一般的です。

出典:弁護士法(e-Gov法令検索)労働組合法(e-Gov法令検索)

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自分の有給は何日残っている?【勤続年数別の早見表】

勤続年数に応じた有給休暇の付与日数を示した図。6ヶ月で10日、6年6ヶ月以上で20日になることを表す

勤続6年6ヶ月以上なら年20日が付与されます。前年の残りを繰り越せるため、7年6ヶ月以上では保有できる上限が40日になります。

付与される日数は勤続年数で決まります。労働基準法39条2項の表を、そのまま書き出したものが次の一覧です。

勤続年数その年に付与される日数前年の繰越を含めた上限
6ヶ月10日10日
1年6ヶ月11日21日
2年6ヶ月12日23日
3年6ヶ月14日26日
4年6ヶ月16日30日
5年6ヶ月18日34日
6年6ヶ月20日38日
7年6ヶ月以上20日40日

使わなかった分は翌年に繰り越せます。請求できる期間が2年なので、繰り越せるのは1年分までです。

勤続7年6ヶ月以上なら、繰越を含めて最大40日を持てる計算になります。前年の繰越を含めた上限が、主張できる日数の上限になります。

パートやアルバイトの場合

週の所定労働日数が4日以下で、かつ週の労働時間が30時間未満の場合は、日数が比例して減ります。週4日なら6ヶ月時点で7日、週3日なら5日です。

週5日以上、または週30時間以上働いているなら、雇用の形にかかわらず上の表と同じ日数が付与されます。

出勤率8割の数え方と付与される日

出勤率は、出勤した日数を全労働日で割って出します。年間240日が労働日なら、192日以上の出勤で8割です。業務中のけがで休んだ期間、産前産後の休業、育児休業と介護休業は、出勤したものとして数えます。

付与の基準になる日は、原則として入社から6ヶ月後です。ただし全社員の付与日を4月1日などにそろえている会社もあり、その場合は原則より前倒しで付与されます。

会社が日数を教えてくれないとき

給与明細と勤怠システムは、会社に連絡しなくてもその日のうちに確かめられます。どちらにも載っていないときは、人事に聞くのが早い方法です。

会社には労働者ごとの年次有給休暇管理簿を作り、3年間保存する義務があります(労働基準法施行規則24条の7)。

確かめる場所そのまま使える聞き方
人事や総務に聞くとき「年次有給休暇管理簿を確認したいのですが、残日数を教えていただけますか」
書面で残したいとき「あとで確認できるように、残日数をメールでいただけると助かります」

出典:労働基準法労働基準法施行規則(e-Gov法令検索)

欠勤扱いにされたときはどうなる?【消化しきれなかった場合も】

有給を申請したのに欠勤として引かれた分は、退職後でも請求できます。消化しきれなかった分は退職日で消え、買い取りに応じる義務は会社にありません。

有給を取った日は賃金が支払われる決まりだからです(労働基準法39条)。申請した記録が残っていれば、支払われなかった分は未払いの賃金にあたります。

給与明細のどこを見る?

控除欄に「欠勤控除」の項目があれば、そこが引かれた分です。勤怠の記録で、その日が有給ではなく欠勤になっていないかを突き合わせてみてください。

引かれた金額は、1日あたりの賃金 × 欠勤扱いにされた日数で計算できます。1日あたりの賃金は、月給をその月の所定労働日数で割った額が目安です。

請求できる期間は3年です(労働基準法附則143条3項)。有給そのものを請求する権利の2年とは別の期間なので、混同しないでください。

手元で金額が出たら、次の4手順で請求します。

引かれた分を取り戻す4手順
  1. 給与明細の控除欄と勤怠記録を突き合わせ、欠勤扱いにされた日を特定する
  2. 有給を申請したメールの控えと、その月の給与明細をそろえる
  3. 人事あてに「◯月◯日から◯日分は有給として申請しています。欠勤控除された分の支払いをお願いします」とメールで求める
  4. 応じてもらえないときは、労働基準監督署に申告するか、弁護士に相談する

消化しきれなかった分の扱い

残っていた有給は退職日で消えます。在籍している期間に休むための制度なので、退職後に使う先がないためです。

買い取りは、労働基準法が原則として認めていません。ただし、退職時に消化しきれなかった分を会社が任意で買い取ることは、禁じられていません。

確かめたいことそのまま使える聞き方
買い取りの定めがあるか「消化しきれない分について、就業規則に買い取りの定めはありますか」
対象になる日数「定めがある場合、対象になるのは何日分になりますか」
買い取りの単価「買い取っていただける場合、1日あたりの金額はどのように計算されますか」

買い取りの単価に法律上の決まりはありません。通常の賃金で計算する会社と、直近3ヶ月の平均賃金で計算する会社があります。

会社の同意が要るものと要らないもの

やること会社の同意
有給を取る要りません(申請すれば成立します)
退職日を後ろにずらす要ります
残った分を買い取ってもらう要ります
注意

同意が要る2つは、断られたらそこで終わりです。同意の要らない有給の申請だけは、断られても記録に残して出し直しておくと良いでしょう。

退職前の有給消化についてのよくある質問

迷いやすいのは、有給消化中の扱いと、次の会社に入る日の決め方です

有給消化中に会社から業務の連絡が来たら、対応しないといけませんか?

応じる義務はありません。有給の期間は働く義務がないためです。実際に対応した時間は労働時間にあたる場合があるので、いつ何分やり取りしたかを記録に残しておいてください。

有給消化の期間に転職活動をしても大丈夫ですか?

問題ありません。休みをどう過ごすかに会社の許可は要らないためです。面接の日程も自由に入れられます。

有給消化中に転職先で働き始めてもいいですか?

おすすめしません。2社に同時に在籍することになり、就業規則の兼業禁止に触れる場合があります。入社日は退職日の翌日以降にしておくと安全です。

有給消化中の社会保険料はどうなりますか?

在籍しているあいだは健康保険と厚生年金の被保険者のままなので、有給消化中もこれまでと同じように給与から引かれます。

ただし退職月は、退職日が月末かどうかで変わります。月末に退職すると退職月の分まで引かれ、月の途中で退職すると退職月の分は発生しません。

有給消化中にボーナスの支給日があります。もらえますか?

ボーナスは算定期間の勤務に応じて支給されるのが原則です。有給消化中も会社に在籍しているため、「支給日に在籍していること」を条件にしている会社でも対象になります。

ただし退職予定を理由に減額する規定を置いている会社もあるので、就業規則の支給条件を先に確かめておきましょう。

入社して半年たっていませんが、有給を先に使えますか?

会社が独自に前倒しで付与している場合は使えます。給与明細に残日数が出ているかを見れば、付与済みかどうかが分かります。付与されていない場合、6ヶ月を待たずに退職するなら有給は発生しません。

有給消化に入る前に、返しておくものはありますか?

社員証・貸与品・制服は最終出社日に返すのが一般的です。健康保険証は退職日まで使えるものなので、いつ返すかを人事に確かめておくと行き違いになりません。

退職代行に有給の交渉も頼めますか?

運営元によって変わります。申し込む前に、公式サイトに「交渉」「団体交渉」と書かれているかを見ておくと判断できます。

民間の業者は退職の意思を伝えるところまでで、有給の日数を交渉することはできません。

有給を半日ずつ取ることはできますか?

半日単位は法律で決められた制度ではないので、会社が応じれば取れます。就業規則に定めがあるかを先に見ておくと相談しやすくなります。

時間単位は、会社と社員の代表で取り決めがある場合に限り年5日分までです。会社に課された年5日の取得義務とは別のきまりです。

有給消化の期間に、会社から呼び出されたら行く必要はありますか?

ありません。休みの日に出社を命じることはできないためです。どうしても必要な引き継ぎがあるなら、出社した日を有給から外して勤務扱いにしてもらう形になります。

退職日を過ぎてから、有給の分を請求できますか?

有給そのものは請求できません。ただし、申請したのに欠勤として給与を引かれていた分は、退職後でも3年以内なら請求できます。申請したメールの控えが根拠になります。

まとめ|残日数を数えてから記録が残る形で出し直す

この記事のまとめ
  • 断られたときの打ち手は4つ。言い直す・第三者に任せる・退職日をずらす・申請して休んで引かれた分を請求する
  • 「引き継ぎがあるから」には、引き継ぎが完了する日を自分から書いて返します
  • 会社が使えるのは時季変更権だけで、退職前はずらす先がないため使えないとされています
  • 勤続6年6ヶ月以上で年20日、7年6ヶ月以上なら繰越を含めた保有上限は40日です
  • 申請はメールで出し直し、断られた内容はメモに残します
  • 欠勤扱いにされて引かれた分は、退職後でも3年以内なら請求できます

断られたまま日数が分からない状態でも、いま焦って結論を出す必要はありません。まずは給与明細を開いて、残り日数を数えるところから始めてみてください

有給の目処が立って、転職先がまだ決まっていないなら、転職活動の進め方もあわせて参考にしてみてください。

あなたが納得のいく形で有給を消化できることを、応援しています。

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