引き継ぎをしないで退職しても大丈夫?|非常識と思われない進め方と損害賠償のリスクを経験者が解説

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引き継ぎをしないで退職しても大丈夫か、非常識と思われない進め方と損害賠償のリスクを解説する記事のアイキャッチ

「退職日は決まっているのに、引き継ぎに使える時間がまったく足りない」

そんな状態で、このまま辞めたら非常識だと思われないか、不安になっていませんか?通常の仕事が減らないまま退職日が近づけば、引き継ぎの時間が足りなくなるのは自然なことですよ。

この記事では、引き継ぎをしないで退職しても大丈夫なのかと、損害賠償のリスク、非常識と思われないための最低限の引き継ぎを紹介します。

じん係長

私自身、製造業で8年働いたあと退職し、IT業界へ移りました。

読み終えるころには、損害賠償を心配しすぎず、いま残せる範囲の引き継ぎを進められるようになります。引き継ぎをしないまま辞めることに不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 引き継ぎをしないで退職しても大丈夫か
  • 引き継ぎ不足で損害賠償を請求されるのか
  • 最低限どこまで引き継げば十分か
  • 就業規則に引き継ぎの決まりがあるときの進め方
  • 罪悪感が消えないときの考え方
目次

引き継ぎをしないで退職しても大丈夫?

引き継ぎをしないで退職するときのポイントとして、退職はできる、損害賠償はまず認められない、最低限の引き継ぎはしておくの3つを示した図

引き継ぎが十分にできなくても、退職することはできます。引き継ぎが足りなかったというだけで、損害賠償が認められることもまずありません。

  • 退職はできる
  • 損害賠償はまず認められない
  • 最低限の引き継ぎはしておく

ただ、何も言わずに辞めると、後任や取引先が困ってしまいます。非常識だと思われないために、最低限の引き継ぎだけはしておきましょう。

こんな状況になっていませんか?
  • 引き継ぎの相手がまだ決まっていない
  • 退職日までに任されている案件が終わらない
  • 引き継ぎ用の時間を上司に相談できていない

ひとつでも当てはまるなら、引き継ぎの時間が足りなくなるのは無理もありません。残せる範囲を決めて、できるところから進めていきましょう。

※残す範囲は、最低限の引き継ぎで残す3つで決められます。

引き継ぎをしないで辞めると損害賠償を請求される?

損害賠償が認められるには、会社が損害の発生と、引き継ぎ不足との因果関係の2つを証明しなければならないことを示した図

引き継ぎが足りなかったというだけで、損害賠償が認められることはまずありません。損害賠償を認めてもらうには、会社が次の2つを証明しなければならないためです。

  • 損害の発生
  • 引き継ぎ不足との因果関係

引き継ぎが多少足りなかった程度では、この2つを証明するのは難しいです。引き継ぎを最後まで終わらせる義務を決めた法律もありません。

ただし、連絡が取れないまま出社しなくなり、取引先への対応が止まったような場合は話が変わります。間に合わない部分は、黙って辞めずに先に伝えておきましょう。

注意

会社から実際に損害賠償を請求すると言われたら、自分だけで対応せず、早めに弁護士に相談しましょう。

※法律の根拠は、よくある質問で紹介しています。

最低限どこまで引き継げば十分?

最低限の引き継ぎで残す3つとして、業務の一覧、進行中の案件、連絡先とファイルの場所を示した図

業務の一覧と進行中の案件、連絡先とファイルの場所の3つが残っていれば、最低限の引き継ぎとしては十分です。後任がいま何が動いているかを分かれば、ゼロから覚え直さずに済むためです。

業務の一覧

担当している業務を、ひとつずつ書き出しましょう。完成度よりも、抜けがないことを優先すると良いです。

毎日やること、月に1回やること、年に数回やることに分けて書くと、後任が見落としにくくなりますよ。

進行中の案件

いま動いている案件と、次にやるべきことをまとめましょう。どこまで終わっていて、次に何をするかが分かれば、後任は自分で動けます。

期限がある案件は、日付も書いておくと安心です。

連絡先とファイルの場所

よく連絡する相手と、ファイルの保管場所を共有しましょう。誰に聞けばいいか、どこを見ればいいかが分かれば、後任が困る場面は大きく減ります。

じん係長

私の場合も、通常業務が減らないまま退職までの期間に入ったため、資料を作り込む時間が取れず、口頭での説明が中心になりました。

3つを埋めきれないときの伝え方

3つを埋めきれないときは、空欄のまま渡して大丈夫です。何が引き継げていないかが、後任にそのまま伝わります。

渡すときは、次のように伝えましょう。

場面そのまま使える言い方
残せる範囲を先に伝える「引き継ぎ資料は、業務の一覧と進行中の案件、よく使う連絡先までまとめてお渡しします。残りは口頭で補足させてください」
間に合わないと伝える「◯日までに用意できる引き継ぎは、業務の一覧と進行中の案件、連絡先までです。足りない部分は、退職後もメールで確認いただければお答えします」

※引き継ぎと並行して転職の準備を進めるなら、転職のロードマップの記事も合わせてご覧ください。

就業規則に引き継ぎの決まりがあるときはどうする?

就業規則に引き継ぎの決まりがあるときの進め方として、できる範囲で規定に沿う、間に合わない部分を早めに伝える、退職日は変わらないの3段階を示した図

就業規則に引き継ぎの決まりがあっても、そのとおりに引き継げないからといって、退職できなくなることはありません。ただ、できる範囲で規定に沿って進め、間に合わない部分は早めに伝えておきましょう。

就業規則に引き継ぎの決まりがあるとき
  1. できる範囲で規定に沿う
  2. 間に合わない部分を早めに伝える
  3. 退職日は変わらない

規定に届かないと分かったときは、次のように伝えましょう。

場面そのまま使える言い方
規定の期間に届かないと伝える「就業規則では引き継ぎ期間が◯週間となっていますが、退職日までに用意できるのは、業務の一覧と進行中の案件、よく使う連絡先までです。残りは口頭で補足させてください」
罰則の記載について確かめる「就業規則の◯条に引き継ぎに関する記載がありました。今回の進め方で問題がないか、あらかじめ確認させていただけますか」
就業規則の内容どう進めるか
引き継ぎ期間の定めがあるできる範囲で沿う。間に合わなければ早めに伝える
引き継ぎをしない場合の罰則が書かれている内容を確認する。給与を減らされる場合も、減らせる額には上限がある
引き継ぎ不足による退職金の減額が書かれている退職金規程で減額の条件を確認する
特に定めがない最低限の引き継ぎを目安に進める

就業規則はどこで確認できる?

就業規則は、人事や総務の担当者に頼めば見せてもらえます。会社には、就業規則を働く人に知らせる義務があるためです(労働基準法106条)。

社内ポータルや、休憩室に置かれている会社もありますよ。

それでも罪悪感が消えないときはどうすればいい?

引き継ぎが足りないまま辞めるときに押し付けたことにならない3つとして、残せる範囲を渡す、間に合わない部分を先に伝える、退職後の問い合わせ先を伝えるを示した図

残せる範囲を渡し、間に合わない部分を先に伝えておけば、罪悪感を抱え続ける必要はありません。後任がいちばん困るのは、何が残っていて何が残っていないのかが分からない状態だからです。

  • 残せる範囲を渡す
  • 間に合わない部分を先に伝える
  • 退職後の問い合わせ先を伝える

退職後の問い合わせ先は、「足りない部分は、退職後もメールで確認いただければお答えします」と伝えておくだけで十分ですよ。

伝えるべきことを伝えたなら、そのあとをどう受け止めるかは会社が決めることです。自分を責めすぎないようにしましょう。

自分の口から伝えるのがつらいときは?

上司と話すこと自体がつらいなら、退職代行を使うのも一つの方法です。引き継ぎの希望や、出社が難しい事情も、あなたの代わりに会社へ伝えてくれますよ。

損害賠償の話が出ているなら、弁護士が運営する退職代行を選びましょう。民間の業者は、損害賠償についての話し合いには入れません。

どこに頼むか迷ったら、おすすめの退職代行の記事で比べられますよ。

退職代行の依頼先引き継ぎの希望を伝える損害賠償の話への対応
弁護士できるできる
労働組合できる話し合える
民間の業者できるできない
退職代行が向いている人
  • 上司と話す時間が取れず、引き継ぎの状況を伝えられないまま日が過ぎている
  • 直接説明すると、感情的なやり取りになりそうで避けたい

おすすめの退職代行サービスを見る

引き継ぎをしないで退職するときのよくある質問

ここからは、引き継ぎをしないで退職するときによく聞かれる疑問をまとめました。気になる箇所を開いて確認してみてください。

引き継ぎをしないと、損害賠償を請求されることはありますか?

請求されることはあっても、認められることはまずありません。

損害賠償が認められるには、会社が損害の発生と、引き継ぎ不足との因果関係を証明しなければなりません(民法415条)。

引き継ぎをする義務は、法律で決められていますか?

引き継ぎを最後まで終わらせる義務を決めた条文はありません。

労働契約法3条4項は、会社と働く人の両方に、契約を誠実に果たすことを求めています。そのため、できる範囲の引き継ぎはしておくと安心です。

引き継ぎを全くしないで即日退職しても大丈夫ですか?

会社が合意すれば、即日でも辞められます。合意がなければ、申し出てから2週間は雇用が続きます(民法627条1項)。

引き継ぎをしたかどうかで、この2週間が延びることはありません。

契約社員でも、伝えてから2週間で辞められますか?

原則として、契約期間が終わるまでは辞められません(民法628条)。

病気などやむを得ない事情があるときは別なので、まずは雇用契約書の期間の欄を確認しておきましょう。

就業規則に「引き継ぎをしない場合は懲戒解雇」と書かれていたらどうなりますか?

引き継ぎが多少足りなかった程度で、懲戒解雇が認められることはまずありません。

労働契約法15条は、合理的な理由がなく、処分として重すぎる懲戒は無効だと決めています。心配なときは弁護士に相談しましょう。

就業規則に、罰則として減給が書かれていたらどうなりますか?

減らせる額には、法律で上限があります。

1回の減給は1日分の賃金の半分まで、合計でも1回の給与の10分の1までです(労働基準法91条)。

引き継ぎをしないと、退職金を減らされますか?

退職金規程に書かれていなければ、引き継ぎ不足を理由に一方的に減らすことはできないとされています。

規程は在職中なら見せてもらえるので、退職日の前に確かめておきましょう。

引き継ぎが終わらないまま最終出社日が来そうです。どうすればいいですか?

終わらないと分かった時点で、直属の上司に伝えましょう。メールなど記録が残る形でも伝えておけば、黙って辞めたと受け取られずに済みます。

何が終わっていないかを一覧にして渡すと、誰に引き継ぐかも決めやすくなりますよ。

退職代行に頼むと、引き継ぎ資料も作ってもらえますか?

引き継ぎ資料は作ってもらえません。退職代行が引き受けるのは、退職の意思を伝えることと、頼む先によっては条件面のやり取りです。

資料は、できる範囲で自分で用意しておきましょう。

有給消化中に引き継ぎのことで呼び出されたら、応じないといけませんか?

応じる義務はありません。有給休暇は、働く義務がない日だからです。

どうしても必要な作業が残っているなら、有給に入る前の出社日に回してもらえないか相談してみましょう。有給そのものを渋られている場合は、退職前の有給消化を断られたときの対処法が参考になります。

民間の退職代行だと、なぜ損害賠償の話し合いができないのですか?

弁護士以外が報酬をもらって交渉することを、法律が禁じているからです。民間の業者が話し合いまで行うと、弁護士法72条に触れるおそれがあります。

労働組合は、組合として会社と話し合う権利が労働組合法で認められています。ただし、裁判になったときに代理人になれるのは弁護士だけです。

まとめ|残せる範囲を済ませたら罪悪感を引きずらない

この記事のまとめ
  • 引き継ぎが十分にできなくても、退職することはできます
  • 引き継ぎ不足だけを理由にした損害賠償は、まず認められません
  • 業務の一覧、進行中の案件、連絡先とファイルの場所の3つを残せば、最低限の引き継ぎとしては十分です
  • 就業規則の引き継ぎの決まりは、退職できなくなる理由にはなりません
  • 自分の口から伝えるのがつらいときは、退職代行という選択肢もあります

引き継ぎに使える時間が少なくても、焦る必要はありません。まずは業務の一覧を書き出すところから始めてみましょう。

あなたが気持ちよく次の環境に踏み出せることを、応援しています!

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