辞めると決めてから3ヶ月、まだ上司に切り出せていません。そんな状態で悩んでいませんか?
言おうとした日は何度もあったはずです。それでも、いざ上司を前にすると言葉が出てきません。
退職を言い出せない理由は、大きく5つに分かれます。ここでは、その5つに沿って、期限と当日の言い方をまとめました。
私自身、製造業で8年働いたあと、その会社を辞めてIT業界へ移りました。辞めると決めてから動き出すまでには、半年近くかかっています。
この記事でわかること
- 退職を言い出せない人に多い5つの理由
- 退職を伝えるのは、最悪いつまでに間に合うのか
- そのまま使える切り出し方の例文
- 伝えた後の進め方と、どうしても勇気が出ないときの対処法
読み終えるころには、上司に切り出す日と、その日に言う一言目を自分で決められます。当日の言い方は、表からそのまま書き写せます。
用意するのはカレンダー1枚だけです。読むのも、自分に当てはまる理由のところからで大丈夫です。
よくある退職を言い出せない理由
退職を言い出せない理由は、大きく5つに分けられます。
- 上司の反応が怖い(怒られそう、失望されそう)
- 引き止められたら断れる自信がない
- 人手が足りず、言い出すタイミングがない
- 次の会社が決まっておらず、言う資格がない気がする
- 世話になった負い目があって切り出せない
| 当てはまる理由 | この記事のどこを読めばいいか |
|---|---|
| 上司の反応が怖い/断れる自信がない | 切り出し方の例文と、引き止めへの返し方 |
| タイミングがない | 伝える日の決め方(繁忙期でも日付は決められます) |
| 次が決まっていない | よくある質問(退職の申し出に、転職先の有無は関係ありません) |
| 負い目がある/何を言われても言えない | それでも勇気が出ないときの対処法 |
3ヶ月言い出せないのは、珍しいことではありません。言い出せない理由は、たいてい5つのどれかに収まります。
そもそも辞めるかどうかがまだ固まっていないなら、順番が逆です。先にいまの会社に居続けるかどうかの判断を済ませたほうが早く進みます。
とはいえ、理由がはっきりしても、もう3ヶ月経っているのにいまさら間に合うのか、というところが気になりますよね。まずは、退職を会社に伝える期限について把握しましょう。
退職はいつまでに言う必要がある?
法律の上では、退職日の2週間前までに伝えれば足ります。就業規則に「3ヶ月前」とあっても、これから伝えれば数ヶ月先の退職日には間に合います。
民法627条1項には、期間の定めのない雇用なら、退職を申し入れた日から2週間で雇用が終わると書かれています。
期間の定めのない雇用とは、正社員や、契約期間の書かれていないパート・アルバイトのことです。
就業規則に「退職は3ヶ月前までに申し出ること」とあっても、それは会社が自分たちで決めた規則です。
ただし、就業規則と民法のどちらが通るのかは、学説も裁判例も分かれています。「規則は無視してかまわない」と言い切れる話ではありません。
実務では、就業規則の期間を尊重しつつ、間に合わないときに2週間を根拠に交渉する形になります。3ヶ月前に言えなかったから今年は辞められない、ということにはなりません。
たとえば月末で辞めたい場合、法律の上ではその月の中旬までに伝えれば足ります。ただし有給を消化するなら、その分だけ最終出社日が早まるため、伝える日はもっと手前に置くことになります。
契約の期間が決まっている有期雇用は、原則として期間の満了まで辞められません(民法628条。やむを得ない事由がある場合を除く)。契約書の期間の欄を先に見てください。
3ヶ月前に言えていなくても、退職日から逆算すればまだ間に合います。
ただ、期限に余裕があると分かっても、いざその場で何と言えばいいのかは分からないままですよね。そこで次に、そのまま使える退職の切り出し方について、具体的な言い方をまとめてみました。
退職の切り出し方のコツ【例文あり】
切り出すときには、以下の2つに分けて言葉を用意するのがおすすめです。
- 上司に時間をもらうための一言
- 退職の意思を伝えるための一言
話す場を作ることと、退職を伝えることを分けると進めやすくなります。なぜなら、いきなり本題から入ろうとすると、一言目が出てきづらいためです。
- 直属の上司に、二人で話す時間をもらう
- その場で、退職したい意思と希望日を伝える
- 引き止められても、その日は日付を動かさずに持ち帰る
- 話がまとまってから、退職届を出す
場面ごとに、そのまま口に出せる言い方を下の表にしました。
| 場面 | そのまま使える言い方 |
|---|---|
| 時間をもらう | 「ご相談したいことがあるので、15分ほどお時間をいただけないでしょうか」 |
| 退職を伝える | 「一身上の都合で、◯月末で退職させていただきたいと考えています」 |
| 理由を聞かれる | 「一身上の都合です」。詳しく求められたら「今後のキャリアを考えた結果です」 |
| 引き止められる | 「考えたうえで決めましたので、進めさせてください」 |
| 後任を理由にされる | 「引き継ぎは責任を持ってやります。日程はこのままでお願いします」 |
退職理由を正直に話す必要はありません。不満をそのまま伝えると、改善提案という形で引き止めが続くことがあります。
最初に伝える相手は直属の上司です。人事や先輩に先に話すと、上司の耳に別ルートで入り、話がこじれることがあります。
私が伝えたときは、まず「もったいない」と言われました。次に「次はどこだ」と聞かれて、IT業界だと答えると、未経験で畑違いだろうと言われました。
強く止められたわけではありません。それでも、うまくいくとは思われていないのは分かりました。
長時間の説得や泣き落としは、あまり起きません。
想定していない質問が来ても、上の表の言い方に戻せば話は進みます。
言い方が決まっても、いつ言うかが決まらないと切り出せませんよね。続けて、退職を伝える日の決め方を整理しました。
退職を伝える日の決め方
退職を会社に伝える日は、辞めたい月の末日から逆算して決めるのがおすすめです。カレンダーと有給の残り日数があれば、机の上で日付が出ます。
会社の側には期限があります。決算や繁忙期、人事の異動など、動く日が最初から決まっています。
辞める側には、それがありません。今日でも来月でも、誰にも催促されません。
私の場合は、繁忙期だから、いま抜けたら現場が回らないから、もう少し様子を見てから、と理由をいくらでも見つけていました。
本当は、動いた結果どこにも行けないと分かるのが怖かっただけです。
- 辞めたい月の末日を仮に置く(転職先が決まっているなら入社日の前日)
- そこから有給の残り日数を引いて、最終出社日を出す
- 最終出社日より2週間以上前に、伝える日を置く
- その日に、直属の上司へ口頭で伝える
有給の残り日数は、給与明細か勤怠システムで見られます。残り日数が分からないと逆算できないので、先に確認しておくと良いでしょう。
繁忙期でも同じです。繁忙期の後に最終出社日を置いて、伝える日だけ先に決めておきましょう。
伝える日は、退職日から機械的に決まります。悩んで決めるものではありません。
日付が決まると、今度は伝えた後のことが心配になってきますよね。退職を伝えた後に実際に起きるパターンをまとめてみました。
退職を伝えた後はどうすればいい?
伝えた後に起きることは、だいたい決まっています。先に手を打っておけば、上司を前にして迷わずに済みます。
言い出せない人が不安なのは、伝える瞬間よりも、伝えた後に続く数週間のほうです。なぜなら、自分が何と言うかは決められても、相手が何を言ってくるかは決められないためです。
| 伝えた後に起きること | 先に決めておくこと |
|---|---|
| 数日後に二度目の引き止めがある | 返す言葉をひとつだけ用意しておく。日付は動かさない |
| 退職届の提出を求められる | 書式は会社の指定に従う。理由は「一身上の都合」でよい |
| 周りに伝わる順番でもめる | 誰にいつ話すかは、上司に決めてもらう |
| 引き継ぎの時間が足りない | 何を残せば足りるかを、最初に上司と決める |
| 有給の消化でもめる | 申請は口頭ではなく、記録の残る形で出す |
二度目の引き止めは「後任が決まらない」「時期だけずらせないか」という形で来ます。日付を譲ると、最終出社日も伝える日もやり直しになります。
伝えた後にやることは、上の表の5つだけです。相手が何を言ってくるかは選べませんが、返す言葉のほうは、いま選んでおけます。
それでも、上司を前にすると言葉が出てこないこともありますよね。最後に、口に出さずに辞める方法を整理しました。
それでも勇気が出ないときの対処法
自分の口から伝えるのが難しければ、退職代行という方法があります。頼む先によって、有給や退職日の交渉ができるかどうかが分かれます。
退職代行は、本人の代わりに退職の意思を会社へ伝えるサービスです。費用はかかりますが、上司と直接やり取りをしないまま退職日を伝えられます。
| 運営している主体 | 意思を伝える | 有給や退職日の話し合い |
|---|---|---|
| 弁護士 | できる | できる |
| 労働組合 | できる | できる(団体交渉として) |
| 民間の業者 | できる | できない |
民間の業者は、会社と交渉できません。話し合いをすると、非弁行為(弁護士でない人がやると違法になる行為)にあたるおそれがあるためです。
弁護士法72条が、報酬をもらう目的で法律事務を扱うことを弁護士でない人に禁じています。労働組合は労働組合法にもとづく団体交渉(組合として会社と話し合う手続き)として、会社と話せます。
出典:弁護士法(e-Gov法令検索)/労働組合法(e-Gov法令検索)
有給がたくさん残っているなら、民間の業者はやめたほうが良いでしょう
残った有給をいつから使うかは、会社とのすり合わせになります。日程を詰められないと、意思は伝わったのに退職日だけ決まらない、という状態になりがちです。
正直なところ、引き止めが軽く済みそうな職場なら、使わなくていいと思います。費用の分だけ持ち出しになります。
退職代行が向いているのは、次のどちらかに当てはまる場合です。
- 伝えたとたんに話がこじれると、自分で分かっている
- 体のほうが先に限界に来ていて、上司と話すこと自体がつらい
退職代行の費用と対応できる範囲を見る
退職を言い出せないときのよくある質問
3ヶ月前に言えなかったら、もう今年は辞められませんか?
そんなことはありません。民法627条1項は、申し入れの日から2週間で雇用が終わると定めています。
就業規則の「3ヶ月前」と民法のどちらが通るかは、学説も裁判例も分かれています。それでも、3ヶ月前に言えなかったから今年は辞められない、ということにはなりません。
まず希望日を伝えて、間に合わないときに2週間を根拠に相談する形になります。
退職を切り出すのはメールでもいいですか?
記録が残る点では有効です。とはいえ、最初は口頭で直属の上司に伝えるほうが、そのあとの引き継ぎでもめにくくなります。メールは、伝えた後の日程のやり取りで使うと役に立ちます。
次の転職先が決まっていなくても言っていいですか?
問題ありません。退職の申し出に、転職先の有無は関係しません。聞かれたら「まだ決めていません」で足ります。
収入が途切れる期間の生活費だけは、先に計算しておくと良いでしょう。
有給が残っているときはどう数えればいいですか?
退職日から有給の残り日数を引くと、最終出社日が決まります。有給を全部使うなら、最終出社日の翌日からそのまま休みに入る形です。残り日数は給与明細か勤怠システムで確認できます。
有給を全部使わせてもらえないときはどうすればいいですか?
有給の申請は、口頭ではなく記録の残る形で出しておくと良いでしょう。会社には、有給の日をずらす権利(時季変更権)があります(労働基準法39条5項ただし書)。
ただし退職日より後に振り替える先がないため、退職前の有給は事実上ずらせないとされています。
それでも折り合わないときは、退職日を後ろにずらして消化する形も選べます。
まとめ|今日決めるのは日付ひとつだけ
辞めたい月の末日を決めると、伝える日は引き算で出ます。
- 伝える日は、辞めたい月の末日から逆算して決まります
- 法律の上では、退職日の2週間前までに伝えれば足ります
- 一言目は「ご相談したいことがあるので、15分ほどお時間をいただけないでしょうか」
- 自分の口から言えないときは、退職代行という方法があります
今日できるのは、カレンダーを開いて末日に印をつけるところまでです。有給の残り日数を調べるのは、そのあとでも間に合います。
当日の言葉は、先ほどの表からそのまま使えます。「ご相談したいことがあるので、15分ほどお時間をいただけないでしょうか」から始まります。
言い出せなかった期間が長くても、伝えたあとの流れは変わりません。
辞めた後の動き方は転職のロードマップにまとめています。日付が決まったら、そのまま転職の準備に進んでみてください。
自分で伝えずに辞める方法を確認する
