残業代が出ないと諦める前に|在職中に揉めずに証拠を残す方法と請求の流れを経験者が解説

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残業代が出ないと諦めかけている人に向けて、在職中に残す記録とできるだけ揉めずに請求する方法を紹介する記事のアイキャッチ

「残業代が出ていないのは分かっているけど、会社と揉めるくらいなら諦めようかな」

そんなふうに、請求をためらっていませんか?会社と揉めたくないと思うのは、ごく自然なことですよ。

この記事では、在職中に揉めずに残しておく記録と、払われていない残業代の計算、できるだけ会社と揉めずに請求する方法を紹介します。

じん係長

私は高卒で製造業に8年勤めたあと、IT企業へ転職しました。

前の会社では、残業が月100時間を超えるのが当たり前でした。

読み終えるころには、諦めずに、今日から何を残しておけばいいかが分かっているはずです。残業代が出ずに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 残業代を諦めなくていい理由
  • 請求のために残しておく記録
  • 払われていない残業代の計算
  • できるだけ会社と揉めずに請求する方法
  • 残業代がきちんと出る会社へ移る方法
目次

残業代が出ないのは諦めるしかない?

残業代が出ないときに知っておくこととして、残業代は請求できる、給料日から3年以内なら間に合う、働いた時間の記録が要るの3つを示した図

残業代が出ないからといって、諦める必要はありません。払われていない残業代は、あとから会社に請求できますよ。

  • 残業代は請求できる
  • 給料日から3年以内なら間に合う
  • 働いた時間の記録が要る

請求できるのは、給料日から3年以内の分です(労働基準法115条・附則143条)。ただ、働いた時間を示す記録がないと、請求しても認めてもらいにくくなります。

じん係長

私も前の会社では、残業代が全額は出ていませんでした。

出ていない残業代は、本来あなたが受け取るはずのお金ですよ。

※残しておく記録は、「請求するには何を残しておけばいい?」で紹介しています。

請求するには何を残しておけばいい?

請求のために残しておく記録として、会社に残っている記録、自分でつける記録、給与明細と雇用契約書の3つを示した図

働いた時間と、払われた額・決められた時間がわかる記録を、在職中に手元へ残しておきましょう。どれもふだんの仕事の中でそろえられるので、会社と揉めずに進められますよ。

  • 会社に残っている記録
  • 自分でつける記録
  • 給与明細と雇用契約書

会社に残っている記録

タイムカードや勤怠システムの画面は、スマホで写真に撮っておきましょう。入館証の記録や、業務メールを送った時刻も、働いていた時間の手がかりになります。

会社の書類を持ち出すと、それがもとでトラブルになることもあります。自分が見られる画面を写真に撮っておくくらいにしておくと安心ですよ。

自分でつける記録

毎日の始業と終業の時刻を、手帳やスマホのメモに書いておきましょう。その日にやった仕事も一言添えておくと、あとで見たときに信じてもらいやすくなります。

大事なのは、思い出したときだけでなく、毎日続けて書くことです。続けて書いた記録ほど、働いた時間の証拠として認められやすくなりますよ。

給与明細と雇用契約書

給与明細と雇用契約書は、捨てずに取っておきましょう。給与明細では払われた残業代を、雇用契約書では決められた労働時間を確かめられます。

どちらも、払われていない残業代を計算するときに使います。紙でもらっているなら、なくさないように写真も撮っておきましょう。

※記録から残業代を計算する方法は、「払われていない残業代はいくらになる?」で確認できます。

払われていない残業代はいくらになる?

残業代の計算の流れとして、1時間あたりの賃金を出す、1.25倍する、残業した時間をかけるの3段階を示した図

1時間あたりの賃金を1.25倍して、残業した時間をかけた額が、払われるはずの残業代です。月20時間ほどの残業でも、3年分にすると100万円を超えることがありますよ。

残業代の計算の流れ
  1. 1時間あたりの賃金を出す
  2. 1.25倍する
  3. 残業した時間をかける
計算の項目例
月給22万円
1か月の決まった労働時間160時間
1時間あたりの賃金1,375円
残業1時間あたり(1.25倍)約1,719円
月20時間の残業約3万4千円
3年分約124万円

残業代が一部だけ出ているなら、この額から給与明細に載っている残業代を引いた分が、払われていない残業代です。1か月の決まった労働時間は雇用契約書や就業規則で確かめ、正確な金額は相談するときに記録を見せて計算してもらいましょう。

できるだけ会社と揉めずに請求する方法

揉めにくい順の請求の進め方として、退職してから請求する、労働基準監督署に相談する、弁護士に任せるの3段階を示した図

在職中は記録を集めるだけにして、揉めにくい順に段階を踏んで請求しましょう。いきなり弁護士や労働基準監督署に頼まなくても大丈夫ですよ。

揉めにくい順の請求の進め方
  1. 退職してから請求する
  2. 労働基準監督署に相談する
  3. 弁護士に任せる

退職してから請求する

在職中は記録を集めるだけにして、会社への請求は辞めてからにしましょう。辞めたあとなら、毎日顔を合わせる上司との気まずさを気にせずに済みます。

請求するときは、残業した時間と金額をまとめて、払ってほしいと書面で会社に伝えます。届いた日と中身が記録に残る、内容証明郵便で送っておくと安心ですよ。

請求するときに書面へ書く文

「私は、〇年〇月から〇年〇月までの時間外労働について、残業代〇〇円の支払いを受けていません。〇月〇日までに、〇〇銀行〇〇支店(普通・口座番号〇〇〇〇)の口座へお支払いください」

ただ、請求できるのは給料日から3年以内の分なので、辞めるのが先になるほど、古い月の分から請求できなくなります。辞めるまでに時間がかかりそうなときは、早めに労働基準監督署や弁護士に相談して、いつまでに何をすればいいかを聞いておきましょう。

※辞めたあとのお金が心配なときは、貯金がなくても生活を守ったまま辞める進め方も合わせてご覧ください。

労働基準監督署に相談する

会社が払ってくれないときは、労働基準監督署に相談しましょう。無料で相談でき、会社に払うよう指導してもらえることがあります。

相談するときは、集めた記録を持っていくと話が早く進みます。近くの労働基準監督署は、厚生労働省の所在地一覧で探せますよ。

弁護士に任せる

それでも会社が応じないときは、弁護士に任せましょう。会社とのやり取りを代わりにしてくれるので、自分で会社と話さずに済みます。

相談だけなら無料の法律事務所もあります。お金に余裕がないときは、法テラスで無料の法律相談を受けられることもありますよ。

残業代がきちんと出る会社へ移るには?

残業代がきちんと出る会社へ移る方法として、求人の固定残業代の書き方を見る、転職エージェントに残業の実態を聞くの2つを示した図

残業代がきちんと出る会社へ移るなら、転職エージェントに残業の実態を聞きながら求人を選びましょう。残業代を取り戻せても、今の会社の働き方まで変わるとは限りませんよ。

  • 求人の固定残業代の書き方を見る
  • 転職エージェントに残業の実態を聞く

求人に固定残業代とあるときは、何時間分でいくらなのか、超えた分は別に払うのかが書かれているかを見ましょう。書かれていない求人は、残業代の扱いがあいまいな会社かもしれません。

じん係長

私が頼った転職エージェントの担当者は、業界の実情を良い面も悪い面も正直に教えてくれました。

今の会社では、残業は月15時間以下に収まっています。

実際にどれくらい残業があるかは、応募する前に転職エージェントに聞くことができます。自分に合う転職エージェントは、おすすめの転職エージェントの記事で比べられますよ。

転職エージェントが向いている人
  • 残業代がきちんと出る会社で働きたい
  • 求人を見ても、本当の残業の多さが分からない

おすすめの転職エージェントを見る

残業代が出ないときのよくある質問

ここからは、残業代が出ないときによく聞かれる疑問をまとめました。気になる箇所を開いて確認してみてください。

固定残業代(みなし残業)だと請求できませんか?

決められた時間を超えた分は、請求できます。固定残業代は、決められた時間分の残業代を先に払っておくしくみで、超えた分は別に払う決まりです。

求人や雇用契約書に、何時間分でいくらなのかが書かれていない場合は、固定残業代そのものが認められないこともあります。

管理職だと残業代は出ないのですか?

肩書きが管理職でも、残業代がもらえることがあります。法律で残業代が要らないとされる管理監督者は、経営に関わる権限があり、出退勤の時間を自分で決められる立場の人です(労働基準法41条)。

管理監督者にあたる場合でも、夜10時から朝5時までに働いた分の深夜の割増賃金は出ます。

残業が月60時間を超えていても1.25倍ですか?

60時間を超えた分は、1.5倍で計算します。月60時間までの分は1.25倍、超えた分は1.5倍です(労働基準法37条)。

月100時間近く残業している月は、1.25倍だけで計算すると少なく見積もってしまいます。正確な金額は、相談するときに計算してもらいましょう。

始業前の準備や着替えの時間も残業になりますか?

会社に命じられてやっているなら、働いた時間に入ります。制服への着替えや朝礼、始業前の準備も、会社の指示でしているなら残業代の対象になります。

最高裁判所も2000年の判決で、会社に命じられた着替えの時間は労働時間にあたると判断しています。

労働基準監督署に相談したことは会社に知られますか?

相談しただけで、会社に伝わることはありません。会社に調べに入ってもらうときは、名前を出さないでほしいと伝えることもできますが、自分の残業代を払わせるときは誰の件か分かることがあります。

労働基準監督署に申告したことを理由に、会社が不利な扱いをすることは法律で禁じられています(労働基準法104条)。

まとめ|諦める前にまず記録を残す

この記事のまとめ
  • 払われていない残業代は、給料日から3年以内なら請求できる
  • 働いた時間と、払われた額・決められた時間がわかる記録を残す
  • 残業代は、1時間あたりの賃金×1.25×残業した時間で計算する
  • 在職中は記録を集めるだけにして、揉めにくい順に請求する
  • 残業代がきちんと出る会社へ移るなら、転職エージェントに残業の実態を聞く

会社と揉めたくないからといって、受け取るはずのお金を諦める必要はありません。まずは今日から、働いた時間の記録を残すところから始めましょう。

あなたが、働いた分がきちんと払われる職場で働けることを、応援しています!

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